運用会社の“管理部門”が外に出る時代へ——法改正が変えるミドル・バックの姿

近年の金商法改正により、資産運用会社がコンプライアンス業務や計理などのミドル・バックオフィス業務を外部へ委託できる制度が明確に整備されました。これによって、従来は自社内で専門人材を抱えることが必須だった管理業務を、登録を受けた外部専門業者へ委ねる選択肢が現実的なものとなり、運用会社の業務運営モデルは大きく変わり始めています。

この外部委託の仕組みは、既存の運用会社にとって業務効率化やガバナンス強化につながるだけでなく、新たに運用業界へ参入しようとする企業にとっても大きな追い風となっています。ミドル・バック業務に必要な専門人材を初期段階から大量に抱えなくても、外部の登録事業者に委託することで人的要件が大幅に緩和され、参入コストや組織構築のハードルが下がるためです。特に、小規模でスタートする運用会社や、事業会社・スタートアップが新たに運用業に挑戦するケースにおいて、この制度は“参入障壁”を引き下げる効果をもたらします。

もっとも、外部委託が容易になったとしても、法令遵守の最終責任が運用会社に残る点は変わりません。委託先との契約では業務範囲、再委託の可否、守秘義務、データ管理、レポーティング体制といった条件を明確化し、委託後も適切なモニタリングや内部監査によるチェックが欠かせません。ガバナンス体制を整えながら外部の専門性を活用する、というバランス感覚が今後ますます重要になります。

法改正によって「管理部門は必ずしも社内で抱える必要はない」という発想が一般化しつつあり、運用会社のビジネスモデルはこれまで以上に軽量で柔軟なものへと変化しています。管理部門の外部委託が当たり前になることで、新規参入プレーヤーが増え、運用業界全体の競争と多様性が進む可能性が高まっています。運用会社の“管理部門が外に出る時代”は、新たな担い手が参入しやすい市場環境を生み、業界の構造にも大きな変化をもたらすと思われます。