生保が再び国内債へ、運用人材の役割はどう変わるのか
国内債の金利上昇は、生命保険会社の資産運用戦略に確かな転換をもたらしています。日本国債の利回りが改善したことで、生保各社はこれまで相対的に重視してきた外債やオルタナティブ投資から、負債構造との整合性が高い国内債中心の運用へと回帰しつつあります。特に長期国債は予定利率との親和性が高く、安定的な利回りを確保できることから、再び“中核資産”として注目されています。
この戦略転換に伴い、債券ポートフォリオの再構築やデュレーション調整、ALMに基づく金利リスク管理など、国内債運用に関する実務が増加しています。その結果、運用現場では国内債運用者や債券アナリスト、ALM・リスク管理のスペシャリストといったプロフェッショナルの存在感がこれまで以上に高まっています。
もっとも、こうした環境変化が即座に大規模な採用拡大につながるわけではありません。生保の運用部門はもともと組織規模が大きく、金利上昇局面でも採用はあくまで“ピンポイント補強”が中心です。とくに国内債運用や金利リスク管理は高度な専門性や実務経験を求められる領域であるため、証券会社・銀行での債券運用経験者やALMの知見を持つ人材が優先的に検討される傾向があります。
とはいえ、国内債回帰の流れは、確実に運用人材への期待値を引き上げています。生保における運用部門の採用は量より質へと向かい、選ばれた人材に対しては、金利局面に応じた高度な判断やポートフォリオ運営が求められます。国内金利上昇は、生保にとって運用戦略の再構築期であると同時に、運用プロフェッショナルにとって新たな活躍の場が広がるタイミングでもあるといえるでしょう。


